映画「226」を観て。青年将校によるクーデター事件の雪と血の4日間の顛末を描く


 1989年に製作された日本映画です(副題は「THE FOUR DAYS OF SNOW AND BLOOD」)。オールスター大作映画で、昭和11年2月26日から2月29日にかけて発生した日本のクーデター事件(二・二六事件)の経過を、ドキュメンタリータッチで描いています。事件発生から終結までの四日間を、主に陸軍将校の側から描いています。事件に参加した河野壽大尉の実兄である河野司が監修に当りました。

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冒頭はモノクロ映像で、決起青年将校たちの謀議から始まります。かねてからの昭和恐慌によって、ますます拡大する貧富の差に、皇道派の青年将校である野中四郎大尉、河野壽大尉、磯部浅一元陸軍一等主計、栗原安秀中尉、中橋基明中尉、安藤輝三大尉、香田清貞大尉、村中孝次元大尉らは、「君側の奸」である重臣・元老たちを打倒すれば、天皇親政の政権が実現して窮状を救えるだろうと考え、東京でクーデターを計画します。時期尚早と考えるメンバーもいましたが、第一師団の満州派遣が直前に迫っている中、急がなければチャンスを逃すという意見で一致して、昭和11年2月26日、雪の降りしきる未明にクーデターを実行します。リーダーのひとりである野中大尉は、ハンカチに万年筆で「我狂か愚か知らず 一路遂に奔走するのみ」と書き記し、メンバーに見せます。

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「尊王討奸」を合言葉に、青年将校たちは歩兵第1連隊、歩兵第3連隊、近衛歩兵第3連隊の下士官と兵士1483名を引き連れて決起します。斎藤実内大臣、高橋是清大蔵大臣、渡辺錠太郎陸軍教育総監らは銃殺されて、鈴木貫太郎侍従長は重傷(指揮者は安藤大尉)、いっぽう岡田啓介首相は秘書官の松尾伝蔵大佐が身代わりとなって銃殺されて、難を逃れます(指揮者は栗原中尉)。別行動をとっていた河野大尉は、湯河原に静養中の牧野伸顕前内大臣兼伯爵を10名足らずで襲撃しますが、河野大尉は負傷して、襲撃は失敗に終わり、牧野伯爵は助かります。

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いっぽう野中大尉たちは、首相官邸、警視庁、内務大臣官邸、陸軍省、参謀本部、陸軍大臣官邸、東京朝日新聞、山王ホテルを占拠します。さらに青年将校たちは、陸軍首脳を通じて、昭和天皇に「昭和維新の実現」を訴えます。「決起趣意書」を陸軍首脳部に提出し、事態収拾(真崎大将を首班とする内閣の樹立)と自分たちの行動を正当な行動とすることを求めます。最初は皇道派の中心人物である真崎甚三郎大将 川島陸相ら軍首脳部は歓迎します。真崎大将は「諸君たちの気持ちはよう解る」と言い、陸軍軍事参議官会議が開かれます。そこで「陸軍大臣告示」を青年将校たちに告示することが決まります。「陸軍大臣告示」はあいまいな内容で、青年将校たちは、自分たちの行動が「是か非か分からない」と反発します。

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宮中では、木戸幸一内大臣秘書官長、広幡忠隆侍従次長、湯浅倉平宮内大臣の3人が討議して、天皇の意思を確かめるべく動きます。実は天皇は最初から青年将校たちを「反乱軍」と決めつけて激怒しており「自ら近衛師団を率いて鎮圧するも辞さず」との意向を示していました。これを知った軍首脳たちは、彼らを「反乱軍(逆賊)」として武力鎮圧することを決定し「戒厳令の裁可」をもらい、青年将校たち包囲して、投降を呼びかけることになります。

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青年将校たちに暗雲が立ち込めます。「奉勅命令」が下り、香椎浩平中将が戒厳司令官に任命されて、石原莞爾大佐は真崎大将と口論になります。山下奉文少将の「兵を引くのか引かぬのか」という言葉に対して、磯部は苛立ちます。やがて下士官・兵たちの士気を削ぐことと、青年将校たちとの分断を企図して「下士官兵に告ぐ」というビラやラジオ放送が流れます。「勅命下る。軍旗に手向かうな」というアドバルーンも上がり、下士官・兵たちを始め、青年将校たちの間にも動揺が起こります。岡田首相も生きていると知り「これでは内閣倒れないな」と野中大尉は悔しがります。 

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やがて青年将校たちは、次々に自分の部隊を解散して、下士官・兵たちを原隊に復帰させ始めます。それを見て安藤大尉は「分からん。これはなんですか。これは野中さんが書いた字だ。狂い続けるしか、バカになりきるしか、日本は変えられないじゃないですか」とわめきます。安藤大尉と磯部だけは、まだ徹底抗戦のつもりでいましたが、やがて磯部も抗戦を断念します。野中大尉は磯部に「こんなことになって済まなかった」と謝ります。磯部は「源義経がジンギスカンになったと言うじゃないか。俺も大陸に行ってもうひと暴れるするよ」と返します。山王ホテルに最後は野中大尉と安藤大尉が残されます。安藤は野中に先刻の非礼を謝り、ついに自分の部隊を解散します。部下の永田曹長の「死んではなりません」という忠告にも関わらず、安藤は拳銃自殺未遂をします。野中は遺書を書いたあと、安藤から返された決起を促したハンカチを燃やし、拳銃自殺します。河野大尉も自害します。四日後の2月29日に、事件は終結します。一審制裁判により、事件の首謀者16名、民間人3名が銃殺刑に処されます。

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全般的に映像が暗い上に、キャプションがまったくないので、少し分かりづらかったです。しかし事件の再現は見事の一言で、セッティング・ロケーション・小道具に至るまで、ものすごいリアリティーでした。ショーケン(萩原健一)の存在感が凄くて迫力がありました。大物女優さんたちが、みんなちょい役(回想とか)で出ていました。個人的には坂井中尉役の加藤昌也さんがカッコ良かったです。真崎大将役の丹波哲郎が、蕎麦の金を払おうとする場面は、青年将校に対する真崎の心変わりを象徴していて、印象深かったです。千住明のサントラも良かったです。

青年将校と天皇の、どちらが正しいのか。令和の現代でも良く分からないと感じました。あと雪の日は大事件が起きる(赤穂事件・桜田門外の変・二二六事件・今回の衆議院選)と思うと感慨深いです☆

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