映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観て。中道改革連合現代表の小川淳也のドキュメンタリー第1弾
2020年製作。いまや「中道改革連合」の顔(新代表)になった、衆議院議員の小川淳也さんの17年の政治活動を追ったドキュメンタリー映画です。監督は大島新。現在YouTubeで無料配信中です。

小川淳也さんは香川県高松市出身。東京大学卒業後、自治省(現総務省)に入省しますが、32歳で官僚をやめて「政治を市民の手に取り戻したい」と宣言して政界入りを目指します。2003年、民主党(当時)の公認候補として香川1区から立候補しますが、落選します。2005年に再び香川1区から立候補して、また自民党の平井卓也に敗れますが、比例ブロックで復活して初当選します(当時は小泉政権)。小川さんは自称「日本をよくしたいオタク」で、大島監督と初めて会った日から「政治家になりたいのではなく、ならければならない」と熱く語ります。若さと情熱・理論に基づいた政治論を武器にして、小川さんは立案に強い情熱を注ぎますが「世間に求められていない」と語るなど、他の政治家とのズレを感じていました。「何事も51対49で勝負が決まっている。勝った側は負けた側の思いを背負う必要がある」と語る小川さん。「比例復活議員は発言権が弱い」と苦悩し、党内で希望通りの出世を果たせず、その後数々の苦悩に見舞われます。国政への希望に溢れる夫を、妻の明子さんは健気に支えていきます。いつしか大島監督自身も、小川さんを応援し始めていました。

小川さんと大島監督は、年に一度会う仲になっていました。2009年の衆議院選挙で風向きが変わり、与野党の政権交代が起こります。小川さんも念願の選挙区での初当選を果たします。やがて仲間も増えて、政権党になった高揚感に浸る小川さんは「5年以内にトップ(総理大臣)になる」と目標を語るようになります。2012年、民主党政権が崩壊して、41歳になった小川さんは党の情けない姿と悔しさにさいなまれます。大島監督はこの頃から「小川さんは政治家に向いていないのではないか」という疑問を抱き始めます。ある日、小川さんは高名な政治ジャーナリストの田崎史郎を招いて食事会をします。田崎氏は安倍政権びいきであり、野党の議員の中で、小川さんを評価していました。小川さんは物おじせずに田崎氏に自らの意見を語ります。経歴も年齢も当選回数も選挙区も似ている、玉木雄一郎(現・国民民主党代表)と比較されることが多い小川さんは、党内で前原誠司の最側近として、ささやかな出世を果たします。

2016年3月、民主党に維新の党が合流して、民進党が結成されます。翌2017年9月、衆議院が解散されて、小川さんが所属する民進党は、新党・希望の党(代表は小池百合子)との合流を表明します。小川さんは前原誠司やライバルであり盟友の玉木雄一郎との義理に苦悩しますが、悩み抜いた末、希望の党での立候補を決断します。小池氏への不信感を抱く支持者たちの声にも、小川さんは誠実に応えていきます。妻だけではなく、両親と2人の娘も総出で、崖っぷちの選挙戦を戦います。政局の混乱の中、地元に密着した活動を続ける小川さんと家族に対して、支持者たちからは応援と非難の声が交錯します。小川さんの母親は「息子は政治家よりも、大学教授や啓蒙活動の方が向いているのではないか」と語ります。父親は「息子が政治家として、日本を変えることに成功するのではないか」と、万が一の可能性を信じます。

小川さんは、支持者と一緒に深夜まで開票結果を見守っていました。対立候補で地元の有力メディアの親族でもある平井卓也に、小川さんは苦戦を強いられます。結果は小川さんが79,383票、ライバルの平井卓也は81,566票で、小川さんは僅差で破れ、小選挙区で落選となります。しかし比例復活で5回目の当選を果たします。2018年、希望の党は解散します。小川さんは国民民主党には合流しないで、47歳で無所属となります。2019年。小川さんは国会で統計不正を追及して注目を集め「統計王子」と呼ばれるようになります。

地元の香川に帰ってきた小川さんは、初めて立候補した時のポスターを眺めながら、初心に返ります。小川さんは、政治家らしい「上昇欲求」はいまだに持っていないことが欠点だと自己分析します。2020年、世界はコロナウィルスの感染に脅かされていました。ラストの場面、大島監督の「総理大臣なりたいですか?」という質問に対して、小川さんは「その志をまだ持っているから議員を続けている」と熱く語ります。

6年前の映画なのに、のちに中道改革連合の代表になることを予感(予見・予言?)させるような内容に驚きました。当時から小川さんは自分の政治信条を「左でも右でもなく中道」と語っていました。地盤も看板も鞄もなく、まさに地べたを這うようなドブ板選挙の様子に心が動かされました。家族もみんな、割と冷静で客観的で、庶民感覚のままで、政治家臭がしませんでした。夫婦二人で家賃4万円のアパートで暮らているそうです。小川さんはバランスが良く、誠実で正直で良く葛藤する、まともな政治家だと思いました。政局に振り回される半生でしたが、党の変遷にも関わらず、ブレない姿勢には感動しました。
いまや野党比較第一党の党首であり、小川さんは中道の代表に「なるべくしてなった」と感じ、中道は救われたと思いました。しかし17年間もよく最後まで撮影できたと、大島監督と小川氏の絆を感じました。両人方とも、先見の明あったのだと思います。映画になった事だけでも、小川さんは幸運で強運の持ち主だと感じました。選挙の内幕・舞台裏が分かり、ドキュメンタリーとして一流だと思います☆
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