アニメ映画「機動警察パトレイバー the Movie」を観て。人気アニメの映画化作品の第1弾。監督は押井守
1989年製作。人気アニメ(メディアミックス作品でもある)シリーズ『機動警察パトレイバー』映画化作品の第一弾です。監督は押井守。1998年頃の東京を舞台に、警視庁警備部特車二課第二小隊(パトレイバー)の活躍を描きます。物語はひとりのプログラマーの自殺から始まります。1989年の第7回日本アニメ大賞で大賞を受賞しています。この作品はその後、漫画・OVA・テレビシリーズと大展開しました。なお特車二課の所在地は、大田区城南島の架空の場所に設定されています。

1999年の東京湾で、篠原重工の天才プログラマー・帆場暎一(E.HOBA/エホバ)が、国家的な巨大土木事業「バビロンプロジェクト」のメインとなる、レイバー整備用海上プラットフォームである通称「方舟」から投身自殺をします。同時期、都内ではレイバー(ロボット技術を応用した歩行式の作業機械)が突然暴走する事件が多発します。やがて風洞実験中だった自衛隊のプロトタイプのレイバーまでが、人が乗っていないにも関わらず、暴走事件を起こすに至ります。従来機を運用する「特車二課第一小隊」は、近く正式に配備される新型パトレイバー「零式」の研修中のため不在であり、代わりに多くが初心者で構成されている「特車二課第二小隊」が単独で、多発する暴走事件の対応に追われます。

第二小隊の若手の篠原遊馬(あすま)巡査は、多発する暴走事件の異常さに直ちに気付いて独自に調査を始めます。そして暴走した機体すべてに装備されていた篠原重工製の最新レイバー用のOS「HOS(Hyper Operating System)」が原因ではないかと予想します。第二小隊の隊長である後藤喜一警部補も、同様の疑問を抱いていました。後藤は「HOS」の担当開発者であった帆場暎一の捜査を、本庁の松井刑事に依頼します。後藤は松井から「カミソリ後藤。本庁一の悪。切れ過ぎる」と評価されています。松井は帆場暎一の20か所以上もある転居先を丹念にたどり、帆場暎一が「黒」だと結論付けます。

遊馬の調査により、レイバーの暴走事件の原因が「HOS」によるものであることが明らかになります。それは帆場暎一の目論見通りでした。篠原重工が先手を打ち「HOS」の不具合を政府に報告します。報告を受けた政府や警視庁上層部は、篠原重工が政府に関係の深い有力企業であることや、「HOS」の認可を下した国の責任問題を隠蔽するために、公式には「HOS」のバージョンアップを行うとしつつ、「HOS」を旧OSに書き換えることで、政治的な決着を図ろうとします。いっぽう遊馬は課長から調査の独断専行を咎められ、二週間の停職処分になってしまいます。しかしそれは後藤の策であり、遊馬を勤務からはずし、アメリカ帰りの整備士であるシバシゲオと組ませ、さらに踏み込んだ調査を行わせるためのものでした。

遊馬とシバは調査を続けますが、なかなか暴走の解明には至りません。アパートを訪れた泉野明(のあ)巡査が、沸騰したやかんを止めるとき、遊馬はガラスが共鳴していることに気づきます。そして「HOS」の暴走の引き金が「強風によって建物から発せられる低周波音」であることを突き止めます。しかし風速40メートルに達しないと共鳴現象が起きないと分かると、落胆します。しかし超大型台風が東京に上陸する予報をニュースで知り、驚愕します。台風が引き起こす強風が、東京湾近くの吹き抜け構造の超高層ビルやハープ橋などを吹き抜けて低周波音が発生し、共鳴によって増幅して、低周波音が首都圏全体に及ぶことが予想されます。

各地に点在するレイバーの、大規模な暴走を未然に防ぐためには、大規模な低周波音を発すると予想される「方舟」を解体する必要がありました。本庁の黙認を得た後藤は、未曽有の事態を阻止すべく、アメリカから香貫花(カヌカ)・クランシー巡査部長を呼び寄せ、台風接近のなか、第二小隊が緊急出動します。後藤は「英雄になるか、犯罪者になるか」と密かに思います。しかし「HOS」のブラックボックスの解析結果から、「HOS」を搭載した機体だけではなく、一度でも「HOS」に接触したコンピューター全部に、暴走プログラムが潜伏した可能性が高く、OSの書き換えだけでは、暴走を止められないことが判明します。

何とか「方舟」のメインコントロール室を確保した第二小隊は、各ブロックを次々にパージしていきますが、隙間から入った強風が共鳴して、「方舟」内部のレイバーが暴走を始めます。さらに「方舟」のメインコンピューターも暴走して制御不能に陥ります。最後の手段を取るべく、遊馬は野明に「方舟」の強制分離プラグを点火させる指示を出します。分離して一挙にバランスを失った「方舟」は倒壊します。しかし香貫花が乗った「零式」は、コントロール不全となり暴走を続けて、野明の「イングラム1号機(最新鋭機種の篠原重工製98式)」に牙向かってきます。野明は「イングラム」から外に出て、転落しそうになりながらもワイヤーを使って「零式」に取り付き、「零式」のデータメモリーを直接銃撃して「零式」の暴走を止めることに成功します。
近未来の東京を演出するために、下町の雰囲気の残る場所に、綿密なロケハンが行われたそうです。時はバブルの最盛期、古い街が新しい街に復讐するという設定は、当時としては画期的なアイデアだと思いました。警備部と捜査部がちゃんと区別されていて、当時の刑事ドラマでも見られなかった「組織としての警察」を描いた作品の先駆けであり、のちの『踊る大捜査線』に大きな影響を与えていると言うことも納得できました。インターネットもまだ一般に普及していない時代に「トロイの木馬」「コンピューターウイルス」「OS」という言葉が出てきたり、「方舟」「バベル」「エホバ」「666(ヨハネ黙示録)」など、作中の随所に旧約聖書や新約聖書のモチーフが使われているのも、個人的には好みでした。またクライマックスのBGMもカッコよく(音楽は川井憲次)、完成度の高い仕上がりとなっています☆
映画のイメージソング『約束の土地へ(笠原弘子)』も名曲です。
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