映画「ラストマイル」を観て。ブラックフライデー前夜の、物流サービスの連続爆発事件の解決に挑む


 2024年に公開された社会派サスペンス映画です。監督は『ファーストキス 1ST KISS』の塚原あゆ子、脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子で、主演は満島ひかりです。11月のブラックフライデー前夜に連続爆発事件が発生。その対処に挑む物流センターのリーダーたちや物流業者・末端の委託業者たちの活躍を描いています。犯人捜しのミステリーの要素もあります。なおタイトルの「ラストマイル(ラストワンマイルとも)」とは、最終支店から顧客までの物流サービス(荷物を届ける最後の区間)のことを意味します。

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ブラックフライデーの前日を発端として、世界最大のショッピングサイトである「DAILY FAST(デイリーファスト、略してデリファス)」の西武蔵野ロジスティクスセンターから配達された荷物が顧客の家で次々と爆発して、死者や多くの重軽傷者を出す大事件となります。同じ時期に、西武蔵野ロジスティクスセンターに新任のセンター長として福岡から舟渡エレナ(満島ひかり)が着任します。エレナはこの事件による膨大な損害や株価への影響などを危惧して、部下の梨本孔(岡田将生)と一緒に対応に追われますが、警察の刑事・毛利忠治(大倉孝二)らから、全商品の出荷停止を命じられます。エレナは警察と交渉して、一緒に安全チェックをしながら出荷を続けますが、物流の遅延の影響が次第に顕著になっていきます。

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エレナはネット上で「DAILY FAUST」という、デリファスと見紛うブラックフライデーのニセ広告と、爆発事件より以前に「1ダースの爆弾」をプレゼントするという内容の投稿をしていたアカウントを見つけますが、エレナは通報をためらう言動をして、孔はエレナに不信感を持ち始めます。警察の捜査によって、むかし西武蔵野ロジスティクスセンターのチーム責任者だった山崎佑という男がニセ広告を発注していたことが判明します。機動捜査隊の伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)が山崎の自宅を捜索しますが、山崎の姿はありませんでした。山崎は5年前に、西武蔵野ロジスティクスセンター内で飛び降り自殺を試みて、植物状態になっていました。伊吹が山崎の家宅捜索時、部屋の中で女性の匂いを感じたことと、防犯カメラに映った女性の映像、自殺の原因はオーバーワークか結婚の悩みだという聞き込みの証言から、氏名不詳の山崎の恋人に疑惑の矛先が向けられます。やがて、爆弾を作製した春日が逮捕されますが、女の行方は分かりません。

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いっぽうエレナの在籍データが存在せず、エレナのアカウントによってデリファス在籍時の山崎の記録が抹消されたことを知った孔は、エレナが山崎の恋人ではないかと疑い、エレナを問い質します。孔との話の最中に、エレナは開けようとしている荷物に、爆弾が仕掛けられていることに気付きます。爆発物処理班が来て無事に爆弾処理が終わるまでの間に、エレナは孔に告白します。本当はアメリカ本社から直接赴任して来たこと、むかし山崎の事件を告発するためにアメリカにやって来た山崎の恋人と会い、協力を求められつつも拒否していたこと、その後重要なポジションを経験したものの、仕事の重圧から不眠症に罹り、三ヶ月の休職からの復帰直後であること・・・。孔はエレナに、山崎が使っていたと思われるロッカーの扉の裏に、謎の落書き(2.7m/s →70kg →○)があり、それを消さないように社員の間で申し送りがされていたことを話します。エレナと孔は落書きの意味を、山崎自身が飛び降りることで、ベルトコンベアーの動作を止めることと推測します。

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エレナと孔は、犯人が物流システムの裏技を駆使して、うまく爆発物が出荷されるように工作していたと推理して、デリファスのデータベースに登録された派遣社員の中から、12個の商品を発注した筧まりかの存在を発見します。エレナは、爆発事件の発生で混乱のなかにある「羊急便」の関東局の局長で、協力を拒ばむ八木竜平(阿部サダヲ)に会い、デリファスに対してストライキを起こすことと、同業他社を巻き込んだ賃値上げの交渉を勧めます。爆発事件の影響で、西武蔵野ロジスティクスセンターの物流は完全に停止します。デリファス側は交渉に応じて、ストライキは成功、止まっていた爆発物の回収と物流は再開し始めます。エレナの上司で統括本部長の五十嵐(ディーン・フジオカ)は彼女の責任だとをなじります。エレナは責任を認めつつも、山崎の自殺未遂の時に偶然その場に居合わせた五十嵐が、自殺の原因を筧まりかとの関係のせいにして会社の責任を回避し、他の社員も同様に「何の対処もしなかった」ことを指弾します。

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やがてエレナは、男性だと思われていた最初の爆発の犠牲者が、自分で爆弾を爆発させて自殺した筧まりかだと気づきます、遺体を解剖した不自然死究明研究所の三澄ミコト(石原さとみ)や中堂系(井浦新)たちも、所見から同じ結論にたどりつきます。エレナたちは、回収が済んだかと思われていた12個の爆発物の最後のひとつが、出荷済みの荷物の中にあると気づきます。シングルマザーの松本里帆(安藤玉恵)の元にあった荷物が爆発する寸前に、配達員の佐野亘(宇野祥平)・佐野昭(火野正平)親子の機転で間一髪で救われます。

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一連の事件は終息しましたが、エレナはデリファスを解雇されます。エレナはアメリカ本社の上司であるサラに、西武蔵野ロジスティクスセンターで山崎のデータを抹消するように誘引されたことを指弾して、筧まりかからの犯行声明は本社に届いていたものの、これを黙殺して隠蔽工作に走っていたことを指摘します。エレナは「爆弾はまだある」と言い残して、サラとのリモート通話を終了します。エレナの代わりに新センター長となった孔に、エレナは山崎のロッカーの鍵と今後の対応を任せます。エレナは松本里帆に本物の荷物を届けて、毛利たちを待つ間にパトカーに乗り込んで眠ってしまいます。いっぽう西武蔵野ロジスティクスセンターでは、五十嵐が何かを探すために館内を走り回って、孔がロッカーを見つめて考え込んでいました。

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火野正平の遺作でもあります。物語の冒頭とラストは、佐野親子の様子が描かれています。この映画で一番マトモだったのは、佐野親子だと思います。ほかにも飯尾和樹・薬師丸ひろ子・松重豊・麻生久美子と豪華な俳優陣でした。会話(セリフ)のテンポが良くかつユーモラスでした(大倉と満島はボケが多い)。情報量も多く伏線回収も見事でした。劇中、社員(ホワイトパス)は9人で派遣(ブルーパス)は800人、品目数は3億と描かれています。トラックによる物流は、経済の大動脈であり、人が死んでも止まらないベルトコンベアーは不気味でした。見ていてブラックフライデーが怖くなりました。物流システムの裏(仕組み)が良くわかります(モデルはおそらくアマゾン)。私たちの便利な消費生活の裏で、ネット通販に携わる人たちの奴隷的な搾取・苦労があることを実感しました。

とにかく満島ひかりの存在感は圧倒的で、エキセントリックで有能な物流センター長を上手く演じていました。半端なく天然でイヤミキャラ(オーラ)爆発で怪演でした。そして余韻の残るラストは良かったです。賛否両論が激しい映画ですが、私は楽しめました☆

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