映画「野性の証明」を観て。大量殺人事件の生き残りの少女と元自衛官の逃避行


 東北のある村で起こった大量殺人事件の生き残りの少女と、特殊訓練中に偶然殺人現場に出くわした自衛官の2人を主人公に、東北地方の都市で企てられる巨大な陰謀と、主人公と自衛隊特殊部隊との激闘を描きます。薬師丸ひろ子のデビュー作であり、高倉健が「男の野性」を爆発させる壮絶なバトルアクションの大作です。

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1980年の春、反政府ゲリラのグループがアメリカ大使と家族を人質にとって立て籠もり事件を起こします。人質の命が危険に晒される中、政府首脳は極秘裏に陸上自衛隊の特殊部隊に出動を命じます。味沢岳史一等陸曹(高倉健)を筆頭とする特殊部隊は犯人たちを全員殺害して人質を救出した後、素早く現場を撤収します。

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味沢が属する部隊は、非合法に編成された最強の特殊部隊でした。事件後、味沢たちの部隊は訓練のひとつとして、北上山地の原生林の奥深くに1人ずつヘリから下ろされて、自力で目的地までたどり着くように命令されます。訓練は過酷で精神異常をきたす者や行方不明者が多発し、味沢も力を使い果たして登山道に落ちたところを、通りすがりの女性・越智美佐子(中野良子)に発見されてしまいます。越智は近くの村落に助けを求めに行きますが、味沢は訓練中は民間人との接触を禁止されていたためにその場を離れます。しかし味沢が向かった場所は越智が向かった村落でした。その村落では長井孫一が発狂して斧で次々に村人を殺していました。越智美佐子も長井に殺されてしまいます。長井は最後に自分の娘・頼子(薬師丸ひろ子)を殺そうとします。味沢は頼子を助けようとして、長井を殺してしまいます。事件の一部始終を見ていた頼子は、恐怖のあまり記憶喪失になってしまいます。

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1年後、味沢は自衛隊を除隊して、大量殺人事件の唯一の生き残りである少女・長井頼子を自分の養子にして、羽代市の保険会社で働きます。いっぽう記憶を失っていた頼子は、味沢が自分の父親を殺した本人とは知らずに、親子として平和に暮らします。また羽代市には、殺された越智美佐子の妹・朋子(中野良子。二役)が新聞記者として働いていました。味沢が朋子を暴走族から助けたことがきっかけで、味沢親子と朋子は親交を持つようになります。ある日、岩手県警の北野刑事(夏八木勲)が味沢親子の周辺を探り始めます。北野は村落の大量殺人事件を捜査する途上で、事件の唯一の生き残り・頼子を味沢が引き取った事を知って、味沢が自衛隊の特殊部隊にいたことを突き止めます。 いっぽう警察に事件が暴かれることによって非合法部隊の発覚を恐れた陸自奥羽方面総監部の幹部は、味沢親子を抹殺しようとします。

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味沢は保険金殺人の調査をしていくうちに、政治家と地元の暴力団・そしてその地方を牛耳るボス・大場一成(三國連太郎)・さらに警察が癒着している証拠を見つけます。大場一族による市政の支配に義憤を感じていた朋子は、新聞で実態を暴こうとしますが、大場の息子・成明(舘ひろし)とその仲間の暴走族に襲われて殺されてしまい、味沢はその犯人に仕立て上げられて警察に追われます。頼子と一緒に逃走する中、味沢は自分たちを襲撃してきた暴走族を一刀両断にして、成明を人質に取りますが、成明を取り返そうとする暴力団と戦闘になります。過酷な訓練で身に着けた特殊工作員の戦闘能力を発揮して、成明や暴力団たちを次々に殺していく味沢の姿を見ているうちに、頼子は記憶を取り戻して、味沢が自分の父親を殺した犯人だと気が付きます。事の一部始終を見ていた北野刑事は、味沢を村落民を皆殺しにした犯人だと思い込み、逮捕します。

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署に連行する途中、北野たちは羽代署の刑事に止められます。刑事は北野から味沢親子を奪おうとしますが、そこに一台のトラックが現れます。トラックの男は自動小銃で刑事を射殺します。男は除隊後の味沢親子を監視していた特殊工作員であり、これ以上味沢親子を放置すれば、非合法である「特殊工作隊」の存在が社会に露呈してしまうと判断して、実力行使に出たのでした。男は北野と味沢親子をトラックの荷台に押し込めて、自衛隊の演習地にある小屋に監禁すると、味沢親子の抹殺の発動許可を特殊工作隊本部に連絡します。殺される危険を察知した味沢は隙を見て男を殺して脱出しますが、連絡によって駆け付けた特殊工作隊の指揮官・皆川二等陸佐(松方弘樹)以下22名の隊員たちが追いかけてきます。演習地の山林を舞台に、味沢親子と北野、そして皆川達の間で激しい戦闘が繰り広げられます。味沢は追跡者たちを次々に倒しますが、誤解を解消して和解したばかりの北野が単身戦車に突っ込み死に、味沢を追ってきた頼子が銃撃され殺されてしまいます。一人生き残った味沢は頼子の亡骸を背負い、押し寄せる戦車隊と歩兵部隊に単身で突撃していきます。

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一般の評価はかなり辛口で不評が多いですが、それなりに堪能できました。とにかくデビューしたての薬師丸ひろ子が健気で、演技は拙いですが可憐で瞳が透明で圧倒的なインパクトがありました。高倉健も父性の塊で野性的で、やはりカッコ良かったです。中野良子も芯の強い女性をうまく演じていて美しかったです。高倉健と薬師丸ひろ子の「親子」の絆が良く描かれていて、本当の親子以上でした。とにかく高倉健が超人的で人を殺しまくります(笑)。全般に殺人シーンや人が死ぬシーンが多いです。自衛隊との戦闘シーンは確かに迫力があり、自衛隊は完全に敵扱いです(実際に撮影協力を得られなかったそうです)。前半はミステリーで、後半はサスペンス戦闘バトル映画です。俳優陣も豪華絢爛で存在感がありました。

有名な主題歌はほんの少ししか流れませんが、邦画屈指の名曲だと思います。脚本が粗雑だし荒唐無稽な内容ですが、娯楽映画としては前作の「人間の証明」よりも遥かに見ごたえがありました。総じて高倉健と薬師丸ひろ子を鑑賞する映画だと思います。良くも悪くも、この時代にしか作れない作品だと思います☆

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