映画「白い家の少女」を観て。孤独に暮らす美少女が変態男を毒殺する話
1976年制作のカナダ・フランス・アメリカ合作のミステリー・サスペンス映画です。白い一軒家にひとりで住む大人びた性格でミステリアスな13歳の少女リンを、14歳のジョディ・フォスターが、冷淡でどこか怖い少女を熱演しています。

リンは自立心がありとても早熟で、ブロンド髪で美しい聡明な少女です。リンは一人暮らしをしており、学校にも通っていないようでした。ある夜、リンがひとりで13歳の誕生日をお祝いをしていると、リンの家の大家の息子、フランク(マーティン・シーン)がハロウィンの仮装をしてリンの家を訪ずれます。じつはフランクには小児性愛者(ペドフィリア)の疑いがあり、フランクはリンに狙いを付けているようでした。リンはフランクの様子からそれを察して、自分に何気なく接触してこようとするフランクに怒りを露にして、家から追い出します。
リンはひとりで銀行に行き、貸金庫からお金をおろします。今は亡き父がリンのために、トラベラーズチェックでお金を、生活費として3年分を残していたのです。帰る途中で、フランクにつかまりますが、たまたま通りがかった、パトカーに乗った警官のロンに救われて、家まで送り届けてもらいます。ロンは親にも挨拶しなければと、リンの家に上がり込みますが、リンは父は仕事中だと言って、ロンを帰らせます。

ある日、リンの家の大家でフランクの母、ハレット夫人がリンを訪ねてきます。リンが義務教育を受ける年齢であることを知ったハレット夫人は、学校に通っていないリンに、教育委員会で問題にすると言って咎めます。ハレット夫人は、あなたの父親が留守の時は、うちの息子を家に入れないほうがいい、と言い残して去っていきます。次の日に、ジャムの瓶を取りに、再びリンの家に訪ねてきたハレット夫人と、リンは言い争いになります。リンはハレット夫人に、息子が自分に言い寄ろうとしたことをばらすと言って、強く反発します。ハレット夫人は勝手に地下室に入りますが、女性の死体(リンに殺されたリンの母親)を見つけて叫び、その拍子で地下室の扉が閉まり、ハレット夫人は頭を打ち付けて死んでしまいます。
リンは、ハレット夫人が死んでしまったことに拍子抜けしますが、生来の頭の良さで何とかこの状況を切り抜けようとします。ハレット夫人が車で訪ねてきたことを確認して地下室へ入り、彼女から車のキーを盗み取ります。指紋がつかないように手袋をして、車を動かそうとしますが、車の運転の経験がないリンには無理でした。たまたま、家の前を通りかかった、マジシャンの姿をした青年マリオに声をかけられます。マリオはイタリア系で、父親の経営するガソリンスタンドで見かけていたので、車の持ち主がハレット夫人であることを知っていました。マリオは幼いときのポリオ接種が原因で、片足を悪くしていました。マリオは事情を詳しく知らないまま、証拠の隠ぺいに協力してくれました。無事に車を別の場所に移動させるのに成功します。リンとマリオが楽しく過ごしていると、マリオの叔父で警官のロンが訪ずれます。ロンは再びリンの父親に会いたいと言い出しますが、リンは父は仕事部屋にこもっていて忙しいと言ってロンを帰します。リンとマリオが夕食を食べていると、酒に酔ったフランクがまた訪ねてきます。フランクはリンが大切にしているハムスターのゴードンに煙草の火を押し付けて、悲痛な声で鳴き叫ぶをゴードンを、暖炉の中に投げ込みます。警察を呼ぼうと言うマリオを、フランクはわざと転ばせます。堪え切れなくなったマリオは、ステッキに隠していた剣を抜き、フランクの喉元に押し当て、フランクを追い返します。

リンはマリオを地下室に招き入れし、マリオは事実を知ります。その後、リンはマリオに心を開き、事情を打ち明けます。リンは娼婦だった母から幼児虐待を受けており、父が娘を守るために、リンを連れてロンドンからこの家に引っ越してきたこと、リンの父が水中自殺をしてしまったこと、リンが生活に困らないように、家賃を3年分も前払いして、トラベラーズチェックも用意してくれたこと、ある日母が訪ねてきて、リンは母に青酸カリの入った紅茶を飲ませて殺害したこと、その死体を地下室に埋めたこと、図書館で防腐剤について調べ、死体を腐らせないようにしたこと・・・。マリオはリンの壮絶な過去に同情して、リンとに一緒に暮らします。
土砂降りの中、母とハレット夫人の死体を、リンの家の敷地の土の中に埋める作業を手伝ってくれたマリオは、風邪をこじらせてしまいます。マリオは夕食のためにいったん帰宅します。その夜、ロンが再びリンの家を訪ずれます。今度こそ父親に会わせてくれと不審がるロンでしたが、2階から風邪をひいた中年男が降りてきます。ロンはリンに無礼を詫び、安心して帰っていきます。一度家に帰ったマリオがリンのために父親に変装して芝居を打ってくれたのでした。その夜、2人は一夜を共にします。

後日ロンから、マリオが肺炎で入院していることを知ったリンは、ロンと慌てて見舞いに行きます。リンは今までになく、孤独の辛さを実感するのでした。ある夜、夜中に音がして、地下室からマジシャンの扮装をした男が現れます。リンはマリオだと思いましたが、じつはフランクでした。地下室から母のハレット夫人のヘアピンと母の赤い爪を見つけたフランクは、リンに事情を問い詰めます。大ピンチを迎えたリンは、フランクにお茶を勧めます。冷静なリンは青酸カリを紅茶に混ぜて、フランクに差し出します。何かを察したフランクは、カップを交換してと言います。リンが交換したカップのお茶を平然と飲み干したリンに安心し、紅茶を飲むフランクでしたが「アーモンドの味がする」と言ってせき込み、悶絶します。リンはフランクの息が絶えるのを、瞬きもしない冷たい眼差しで見守るのでした。
全編にショパンの曲が流れて、冷たくも悲しい孤独な少女のサスペンスに満ちた物語に仕上がっています。前歯の欠けたジョディ・フォスターはただただ美しく、魅了されました。リンの透明でクールな謎めいた存在感は、大人に脱皮する過程の、危うい魅力に満ちていました。だんだん変質者の本性を現す不気味で変質的でエキセントリックな男を演じているマーティン・シーンの演技も良かったです。あくまでも静かに恐怖のドラマが進行していくのが、心地かったです。

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