映画「女の子ものがたり」を観て。漫画家・西原理恵子の自伝的映画。主演は深津絵里
2009年製作。人気漫画家・西原理恵子の自伝的コミックの映画化作品です。主演は深津絵里です。スランプに陥ってから、惰性な生活を送る女性漫画家が、若手編集者の手厳しい言葉をきっかけに、子供時代を回想して、再びやる気を取り戻していく再生の物語です。

東京で一人暮らしをするダメ漫画家の高原菜都美(深津絵里・36歳)は、ひどいスランプに陥っていて、漫画が描けずに怠惰な日々を送っていました。そこに一人の若い編集者の財前静生(福士誠治)が訪れます。終始不機嫌な菜都美の部屋は散らかり放題で、昼間からビールを飲み、他人の目も気にせずソファでごろ寝しています。そんな菜都美の姿を見て、財前は菜都美に「友達いないでしょ?」と尋ねます。確かに菜都美には、現在友達と呼べる人はいません。しかし、まだ子供だったころには、確かに親友がいました。菜都美は少女時代を思い出します。

母が再婚して新しいお父さんが出来て、愛媛の自然が豊かな小さな町に引っ越してきた菜都美は、そこできいちゃん(きみこ)とみさちゃんという友達が出来ます。菜都美は「なっちゃん」と呼ばれます。ふたりとは、バスでデパートに出かけてブラジャーを着けて見たり、放課後にいろいろな話をしたりと、3人はとても仲良しでした。しかし菜都美は、心の底で密かに「自分の本当の居場所はもっと遠くにある」のだと思っていました。

ある日、菜都美はふたりを誘って、手紙を書いてボトルに入れて海に流します。その手紙を受け取ってくれた人が、自分の親友になるのだという言い伝えがありました。しかしきいちゃんは「自分たちでは親友にはなれないのか?」と聞いてきます。しかし菜都美には、もっと別のあこがれの世界がありました。父親からも「お前はきっと、他人と違う人生を生きられる」と言われていました。菜都美は「私は幸せ」「きいちゃんは幸せ」「みさちゃんも幸せ」というのを呪文にしていました。

3人の仲は、高校生になっても続いていました。ある日菜都美は、ふたりに壁に描いたペンキ画を披露します。その絵は、手紙が入ったボトルを持って、3人がそれぞれの道を歩んでいく姿を描いていました。ふたりは菜都美の絵を褒めてくれます。菜都美の父親が”最後の勝負”のあと亡くなります。そしてきいちゃんが結婚します。いっぽうみさちゃんは、彼氏から暴力を振るわれて頭にケガをしますが、笑い飛ばします。それを見た菜都美は「それでも幸せなん?」と問います。みさちゃんは「幸せってなに? 不幸ってなに?」と問い返します。菜都美はきいちゃんと取っ組み合いのケンカをします。泥だらけになった菜都美にきいちゃんは「この町から出ていけ。帰ってくるな」と叫びます。その夏、菜都美は漫画家として、東京に単身出ることになります。

菜都美は久しぶりにふたりの友達に会いたくなり、編集者の静生と一緒に愛媛の松山まで出かけます。故郷の海辺の町に着くと、思いがけない事実を知ります。きいちゃん病気で1年前に亡くなり、みさちゃんは町を出て行ったということでした。菜都美はふたりの友達と知り合った同じ場所で、なつこという女の子に出会います。それはきいちゃんの娘でした。菜都美はきいちゃんの自分への思いを、初めて知ることになります。帰りのバスの中で、菜都美は編集者の静生に「友だちの話を描いていいか」と尋ねます。静生は快諾します。菜都美は、確かにふたりは親友だったと思い出すのでした。「ずっとどこか遠くへ行かなければと思っていたけれど、いつだって思い出せる。私はみさちゃんときいちゃんが好きだ。友だちだ。もうこんな友だちは一生出来ないと思う」と確信します。

3人の少女の体験や絆が、大人の菜都美の回想というかたちで描かれています。西原さんは「チャンスも情報もない田舎で、女の子が幸せをつかむためにどうやって自分の足でのし上がっていくかを、みっともない部分を絡めて描きたかった」と語っています。女同士の友達関係も重要なテーマで、人は何気ない友達の一言で、自分の人生を幸せなものに出来る、夢に向かって進むことが出来るのだと思いました。ほのぼのとした物語ですが、見終わったあとに甘酸っぱい感傷に浸れる映画だと感じました。そして自分の人生が前向きになれる映画だと思いました。
菜都美の着ている、黄色いワンピースが印象的でした☆
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