映画「恋人たちの時刻」を観て。北海道を舞台に美しくて物悲しい、洗練された恋愛映画
1987年制作。札幌の精神科医でもある寺久保友哉の同名短編小説集の中の「翳の女」を原作とした角川映画です。「翳の女」を再構成して主人公の西江洸治を北大生という設定から予備校生に変更して、美しくて物悲しいエピソードを新たに加えて、洗練された恋愛映画になっています。

北大医学部を目指す西江洸治(野村宏伸)は札幌の予備校に通っています。ある日小樽市銭函の海岸でサーフィンをしていたところ、男2人に乱暴されている女性(河合美智子)を助けます。後日、札幌の夜間専門の歯科医院に行くと、アルバイトをしているその女性と出会います。名前は村上マリ子といって、彫刻家の桑山(高橋悦史)のところで、住み込みの彫刻モデルをしていると言います。そして彫刻が完成するまで男の人と付き合ってはいけないと桑山に言われていました。洸治はマリ子を強引にデートに誘いますが、待ち合わせ場所の旧道庁赤レンガ庁舎前に、マリ子は来ませんでした。洸治はマリ子が住んでいるらしい桑山宅に行きますが、窓越しに抱き合っている男女の影を見ます。洸治は風俗店に行き、心の鬱憤を晴らします。しかし洸治の見た女の影は、桑山の愛人の利加子(真野あずさ)のものでした。桑山には、乳がんで入院している妻の啓子(大谷直子)がいました。

ある日、予備校の洸治の寮にマリ子が訪ねてきます。洸治とマリ子はお互いに誤解が解けて仲直りして、初めてのデートをします。小樽水族館に行きますが、そこでマリ子は、幼なじみで行方の分からない親友の山崎典子を探してくれと洸治に頼みます。洸治は典子の住んでいた小樽を訪ねて、通学していた美容学校や喫茶店、そして小樽商科大学に行き、彼女の知人たちに出会い、そして典子の奔放な性生活を知ることになります。洸治は男を手玉に取っている尻軽と非難されている典子の、優しさという魅力に惹かれてしまいます。そのことをマリ子に話しますが、今度は典子を探さないでと強く頼まれてしまいます。洸治は典子のことがとても気になり、典子の故郷である道東の標津の向かいます。そこで洸治は典子とマリ子が同一人物だと知ります。

モデルの仕事も終盤になり、桑山の妻の啓子ががんの転移で亡くなります。マリ子は洸治と一緒に暮らす決心をしますが、その前に桑山に抱かれます。マリ子は洸治のアパートに戻ってきます。その夜、洸治とマリ子は初めて結ばれます。洸治は予備校をやめて、働くと言い出します。マリ子は洸治の髪をカットします。無事に面接に合格する洸治でしたが、マリ子は置手紙を残してアパートから忽然と姿を消します。千歳空港に行くとマリ子がまさに飛行機に乗る寸前でした。洸治はマリ子に真意を質しますがマリ子は「嘘をついてごめんなさい。私は桑山に抱かれてきました」と言います。洸治は黙って微笑みながらマリ子を見送ります。

ロケ地は北海道の札幌市代々木ゼミナール札幌校、札幌市営地下鉄大通駅、円山公園駅、北海道庁旧本庁舎、北海道大学構内、すすきの、小樽駅、小樽運河、小樽理容美容専門学校、おたる水族館、標津町根室標津駅、羅臼町、千歳空港などです。とにかく理屈抜きに、北海道の美しい風景 札幌 小樽・標津・羅臼の風景が堪能できます。野村宏伸と河合美智子の一番輝いている時代の演技が味わえます。当時の野村宏伸はほんとにカッコいいです。ヌードシーンとセックスシーンが多いので要注意です。マリ子と啓子、そして利加子の3人の女が去って行き、中年彫刻家の悲哀が印象的でした。大人の女の4人とも(啓子・利加子・西江彰子(洸治の母・加賀まりこ)、イゾルデ)自分の生き方を貫いていて、潔かったです。あと最後までマリ子が洸治の元を去っていく理由が良く分かりませんでした。久石譲が手掛けたBGMがとても良くて映画にぴったりでした。大貫妙子のエンディング曲も秀逸でした。
物悲しく哀愁の漂うストーリーですが、青春期の甘酸っぱさや情緒をたっぷり楽しめました☆
- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ



コメント
コメントを投稿