映画「砂の器」を観て。松本清張の名作の映画化。後半の父子の全国行脚のシーンが圧巻


 1974年制作。松本清張の推理小説が原作で、社会派ミステリーの金字塔です。清張作品の中でも特に有名な一つです。東京都内、大田区蒲田駅の操車場で起きた、ある殺人事件を発端に、刑事の捜査と犯罪者の動静を描いています。ハンセン氏病を物語の背景にしたことでも知られ、大きな話題を呼びました。方言周圏論に基く設定が重要な鍵となっています(東北なまりと「カメダ」という言葉が事件の手がかりになります)。

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国電蒲田操車場内で、中年男性の死体が発見されます。被害者が東北なまりで「カメダ」という言葉を発していたことを唯一の手がかりに、ベテラン刑事の今西栄太郎は、秋田県の羽後亀田へ向かいますが、収穫はありません。しかしその後も地道で粘り強い捜査を続け、被害者の足取りと行動を洗い直します。そのうち中央本線の塩山付近で、返り血を浴びた加害者のシャツの切れ端が発見されます。また東北弁に音韻が類似した山陰地方(出雲地方)で「亀嵩(かめだけ)」という土地に気づきます。

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少しづつ手がかりが浮かび、加害者の有名作曲家・和賀英良こと本浦秀夫の知られざる過去、そして事件の全貌が明らかになっていきます。本浦秀夫は石川県の寒村に生まれ、父の千代吉がハンセン氏病に罹ったため、やがて村を追われ、やむなく父と巡礼(お遍路)姿で放浪の旅を続けたのでした。やがて父子は、島根県の亀嵩に到達し、駐在の善良な巡査・三木謙一に保護されます。三木は千代吉を療養所に入れ、秀夫はとりあえず手元に置きますが、秀夫はすぐに三木の元を逃げ出し姿を消します。

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大阪まで逃れた秀夫は、誰かのもとで育てられます。その後、大阪は空襲に遭い、住民の戸籍が焼失してしまいます。秀夫は戸籍の焼失に乗じて、和賀英良として、新たな戸籍を作成します。殺人は、自分の過去を知る人間を消すためのものだったのです。

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東北(秋田)から出雲、石川県、伊勢、大阪と列車で旅をしながら捜査する今西刑事は、中年のしがない男性ですが、丹波哲郎の飄々とした演技が良かったです。また今西とバディを組む若い吉村刑事役の森田健作が健闘していました。放浪の旅を続ける本浦千代吉役の加藤嘉の名演技も素晴らしかったです。2年間の放浪で着物もだんだん汚れて、体も弱ってゆく様子が伝わってきました。ラストの場面、今西が千代吉に秀夫の写真を見せて、知らないかと尋ねても「そんな人、知らねぇ」と言いながら号泣する加藤嘉は見ものでした。

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映画全編にかかる「宿命」の音楽が素晴らしいです。特に後半45分前から始まる全国を行脚する親子と、四季の移り変わりの美しさに魅了されました☆

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