映画「風花」を観て。北海道を舞台としたロードムービー。主演は小泉今日子と浅野忠信。相米慎二監督の遺作
2001年1月公開の。です。主演は小泉今日子と浅野忠信です。同年9月に53歳の若さで他界した相米慎二監督の遺作です。帰る場所を失った孤独なふたり、若いキャリア官僚とピンサロ嬢の交流を描きます。

文部省のキャリア官僚の澤城廉司(浅野忠信)は、満開の桜の木の下で目を覚まします。二日酔いで、隣にいる女が誰かも覚えていません。女は三十路過ぎのピンサロ嬢・富田ゆり子(レモン。小泉今日子)です。澤城は逆酒乱で、酒に酔うと良い性格になり、シラフだと根暗で最低な男です(伊達メガネをかけている。おまけにインポでマザコン)。エリートですが、酒を飲むと記憶をなくします。廉司は泥酔してコンビニでビールを万引きした事が、週刊誌ネタになっていて、自宅謹慎中です。いっぽうゆり子は、事業に失敗して死別(交通事故)した、夫の重之の残した借金返済のために、幼いひとり娘の香織を故郷(北海道)の母親に預けて、東京でひとり暮らしをしています(ヘビースモーカー)。廉司は酔っ払った勢いで、北海道に5年ぶりに里帰りするゆり子に付いていくと約束してしまいます。廉司は佐賀の唐津が故郷ですが、父親からは戻ってくるなと言われています。また付き合っていた美樹からも別れを告げられて、帰る場所のない廉司は、結局、約束通りにゆり子に同行します。

女満別空港に降り立ったふたりは、ピンク色のレンタカーを借りて、いっしょに北海道を旅することになります。性格がまったく違うふたりの旅道中は、ギクシャクしっぱなしです。廉司は雪山が見たくて旅について来たと言います。単調な景色のなか、運転しながら毒を吐く廉司と、それを面白がりからかうゆり子。ゆり子は廉司に「あんたよく今まで殺されなかったね」と言います。東京の上司(課長)から電話がかかってきて、廉司は一方的に解雇を言い渡されてしまいます。いっぽうゆり子は、故郷の佐呂間に着きますが、寺の住職を務める僧侶と再婚した母親から反対されて、娘に会うことが出来ませんでした。「娘の顔を見たら頑張れる気がした」と語るゆり子でしたが、赤ちゃんの頃に別れてから5年も経っているので、娘は自分の顔も分からないと言います。ゆり子は住職から故郷に戻るように説諭されますが、ふたりは行き場を失くしてしまいます。

ふたりが夕食にジンギスカン料理を食べているとき、廉司は北海道の悪口を言いまくります。それに腹を立てた客に、廉司は殴られて額にケガをします。廉司は無人の診療所で、ゆり子から手当を受けます。行くあてのないふたりは、とりあえず雪山の方へと向かいます。「どこ行く?くたびれた」と語るゆり子。ふたりは雪深い山奥に山荘(温泉付き)を見つけて、泊めてもらうことにします。宿の食堂で知り合った男から、ゆり子は女性経験のない男に、性の手ほどきをしてやってくれと頼まれます。ゆり子は断ろうとしますが、廉司は部屋を出ていって、ソファーで夜を明かします。未明に廉司は部屋に戻りますが、ゆり子は走り書きとお金(ガソリン代)を残して消えていました。

廉司はゆり子が、かつてピンサロで話していたように、睡眠薬を飲んで雪の中で自殺を図ろうとしていることに気づき、山荘の外の雪山へゆり子を探しに行きます。小川の中州で線香花火をするゆり子。暗闇がりの中で、廉司は間一髪、睡眠薬で意識朦朧としているゆり子を見つけます。廉司はゆり子を介抱して、麓の廃屋までゆり子を担いでいきます。ゆり子を懸命に暖める廉司。夜が明けて、一命をとりとめたゆり子は、廃屋の中で廉司と抱き合います。ゆり子は、僧侶が勧めてくれたように、北海道に戻って娘と一緒に暮すことに決めて、佐呂間の実家の寺まで車で戻ります。駆け足で娘に駆け寄り、再会を果たします。その様子を、廉司は車のサイドミラー越しに眺めます。
北海道を車で旅するなかで、自分も行ったことがある地名が、いろいろ出てきて楽しめました。物語のテンポは緩めで、長回しと長セリフが多かったです。ふたりの芝居がかっていない、自然体の演技は素晴らしかったです。キョンキョンが汚れ役なのに美しくてカッコよくて、魅了されました。不器用なふたりのやりとりが、心に残りました。実際は下戸の浅野忠信が、酒乱の役を演じていて、改めて上手いと思いました。相米慎二監督の遺作ということで、感慨も大きかったです☆
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