映画「恋のためらい フランキーとジョニー」を観て。恋に臆病になった女性の回復と解放の物語
1991年制作のアメリカのラブコメ(ラブ・ロマンス)映画です。刑務所から出てきたばかりの男と、過去に夫から暴力を受けて心身ともに傷ついた女の、互いに孤独で傷を持った者同士が結ばれるまでを描く、大人の恋愛物語です。主演はアル・パチーノ(ジョニー)とミシェル・ファイファー(フランキー)です。

小切手詐欺を働き1年半の刑期を終えて刑務所から出所したジョニー(46歳)は、仕事探します。料理の才能があり刑務所でも料理を担当していたジョニーはニューヨークの「アポロカフェ(ダイナー)」のコックに採用されます。いっぽうフランキー(36歳)は、アポロカフェでウェイトレスとして働く女性です。職場の人間関係は良好で、ゲイの友だちと同じアパートで同居しています。ジョニーはフランキーに惹かれ、たびたび口説きますが、フランキーに冷たくあしらわれます。フランキーは過去の辛い経験から、恋愛に臆病になって心を閉ざしているのでした。ジョニーは元来の明るい性格と話術で、すぐに店の人気者になります。ジョニーの熱烈なアピールにも関わらず、見向きもしないフランキーに寂しさを感じるジョニーは、娼婦と遊んだり、同じ店のウェイトレスで恋人が2人いるコーラとセックスしますが満たされません。

長年一緒に働いてきた同僚の孤独な死に直面しフランキーは、この先の人生を考え始めて不安にさいなまれます。その葬式にジョニーがやってきて、涙をみせます。あったこともない彼女の死に涙するジョニーを見て、フランキーはジョニーに興味を持ち始めます。脚本家になるために職場を去る従業員の送別パーティーの夜、ジョニーはひと際目立って、楽しそうにダンスを披露します。それを見てフランキーはジョニーに、少しずつ惹かれていきます。その夜、2人は一夜を共にします。これをきっかけに、2人の心の距離は近づくのですが、フランキーに熱中するジョニーに、フランキーは鬱陶しさと苛立ちを感じるようになってしまいます。フランキー様子の異変に気がついたジョニーは、自分の愛情が真剣なものであることをわかってもらおうと、思い切って彼女にプロポーズをし、子供を作ろうと言います。前の夫の暴力で流産し二度と子供が産めなくなっていたフランキーは、その言葉を聞いて激怒し、再び心を閉ざしてしまいます。

その後、ジョニーからの電話をフランキーは無視し続けますが、店を辞めたくないフランキーは割り切って働くことにします。ジョニーは以前結婚していて子供が2人いることと、前科があって刑務所にいたことをフランキーに話し、ただひたすらにフランキーを愛していることを伝えます。フランキーの心の傷の深さにジョニーは諦めかけますが、ラジオ局に電話をしてある曲をリクエストします。そしてラジオからはジョニーがリクエストした、ドビュッシーの「月の光」が流れてきます。その曲はフランキーの大好きな曲でした。その曲を聴いているうちに、フランキーは少しずつ心が解きほぐれていき、ジョニーの愛を素直に受け入れます。

中年男の孤独と、アラフォー女性の不安と焦りを上手く描いています。ラストシーンでかかるドビュッシーの「月の光」をバックに、明け方の窓から見える他のアパートの部屋に生活している人々の様子や、2人が歯を磨くシーンが印象的でした。アル・パチーノは若々しくてカッコ良くてキュート、ミシェル・ファイファーはそれほど美人ではないが大人の色気があり、魅力的でした。物語のテンポも良く、会話のセンスも良かったです。一途で少し強引なジョニーと、神経質で男に対して心が閉じ気味のフランキーの組み合わせが良かったです。花屋でのキスシーンで、花屋のシャッターが開いて、ピンクの花が一面に映し出されるシーンは秀逸でした。ジョニーがフランキーのために、ジャガイモで作った薔薇の花をプレゼントするシーンも良かったです。悪人が誰一人出てこないのも救いでした。特にゲイの友だちの優しさが光っていました。
ダイナーの様子がよく分かり、人間関係もとても良く描かれていました。目玉焼きが美味しそうで、コックとウェイトレスの掛け合いも面白かったです。セクハラをした客に仕返しに水をかけるシーンなど、コメディのセンスが隅々に届いていました。個人的には『恋人たちの予感』に似ていると思いました。あと序盤でドゥービー・ブラザーズの『What a Fool Believes』がかかるセンスもうれしかったです☆
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