映画「夏至物語」を観て。孤独な女性の静かな狂気の一日

 

1992年製作。岩井俊二監督によるショートムービー(24分)です。出演は白石美樹です。岩井俊二の29歳の時の実験的な作品です。風呂なし・和式トイレの古い昭和の木造アパートに住むひとりの女性が、夏の暑い日に部屋で過ごす一日を描いています。物語は女性のモノローグで進んでいきます。

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朝7時20分トオル(彼氏?セールスマン。ただし映像には出てこない)が出かけたあと、23歳の若い下着の女性(ユウコ・白石美樹・23歳)は、扇風機の回っている部屋で一日を過ごします。ユウコは双眼鏡やビデオで、向かいのアパートの部屋を監視しています。そしてウナギの入っている水槽の中をいじったりしています。「水温26度。気温31度」と言いながら。

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どうやら彼氏からドメスティックバイオレンスを受けているせいか、体中に痣があります。ユウコは「痣の数だけ愛されたい。愛して。これも愛し合っている証拠」と呟きます。ユウコの内股には、タバコの根性焼きの跡があり「一生消えない。愛の証」と言います。

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やがて朝食なのか、キュウリをバリバリ貪り始めます。赤ん坊の泣き声や蝉の鳴き声が聞こえてきます。そしてなぜか冷蔵庫からメダカを出してきて、水槽に入れます。

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ユウコは殺人事件や死亡事件の新聞記事を切り抜いて、スクラップし始めます。

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昼になり、ユウコはそうめんを茹で始めます。そしてテーブルにあった食事の残りを、無造作に畳に落としながら、そうめんを食べ始めます。そしてまた双眼鏡で覗きを始めます。

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午後になり、ユウコは盥にホースで水を入れて水浴びし始めます。畳は水浸しになります。ユウコはキュウリの食べ過ぎでお腹を壊して、正露丸を飲みます。

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午後6時前になり、ユウコはカウントダウンし始めます。6時になり、ユウコは突然部屋の片付けを始め、メイクをしたり、着換えたりします。ユウコの顔はキレイになるのでした。

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覗いていた部屋の主(若い男性会社員・上田晋也・21歳)が帰宅して、ふたりは挨拶をします。

ラストはムーンライダーズの『午後のレディ』がかかって終わります。



このショートムービーの女性主人公は、かなりイカれてる、と思いました。全編を通して「狂気」がみなぎっています。いちいち時刻をカウントしながら、出来事や想像を描写(説明)します。しかし男と一緒に暮らしている気配はまったく感じませんでした。トオルは彼女の妄想の中の男性なのか、と思いました。

2023年に、アイナ・ジ・エンド主演でリメイク版が作られたようです。とにかく、暑苦しさと狂気の冷たさの同居した、トラウマ級の映像でした☆

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リメイク版


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