映画「小さな恋のものがたり」を観て。マンハッタンを舞台に少年の初恋の顛末を描く
2005年制作のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。原題は『リトル・マンハッタン』。ニューヨークのマンハッタンを舞台に、10歳の少年の初恋の顛末を描いた作品です。淡い初恋を経ながら成長していく少年の姿を、軽妙なタッチで描いています。

ニューヨーク・マンハッタンで暮らす10歳のゲイブは、毎日を男友達との遊びやスクーターで街を探検することに費やしています。両親は離婚寸前で、母親は父親を無視して新しい恋人とデートに出かけています。そのためにゲイブの心は落ち着きません。テレビで見たカンフー映画に憧れて、空手教室に通い始めたゲイブは、そこで幼稚園からの知り合いである幼馴染の美少女、ローズマリー・テレスコに偶然再会します。ローズマリーはすでに黄帯の段位を持っており、空手の腕前はゲイブよりもずっと上です。ローズマリーと組み手を務めることになったゲイブは、次第に彼女を一人の女の子として意識するようになります(彼にとってローズマリーは「学校で3番目に可愛い女の子」でした)。二人が一緒に過ごす時間は、ゲイブにとってかけがえのない時間となり、彼女にすっかり魅了されてしまいます。ゲイブはローズマリーを空手の練習に誘うようになり、二人は次第に打ち解けていきます。時間が経つほど、どんどんローズマリーへの恋心は増していき、街で彼女を見かけると偶然を装って散歩に誘うようになります。積極的になったゲイブは、ローズマリーを連れてセントラルパークを散策します。

ある日、ローズマリーを自宅に招待したゲイブは、父親のために新しいアパートを探してあげたいと思っていることを告げます。行動的なローズマリーは物件を見に行ってみようと言い出して、翌日二人は少し遠出をしてアパートを見に行きます。その帰りに、二人はマンハッタンで一番小さな公園まで足を延ばします。二人が佇んでいると、いじめっ子で知られる上級生が通りがかり、二人に暴力を振るおうとします。ゲイブはローズマリーと協力して得意の空手で応戦し、上級生を撃退します。しかしローズマリーから、6週間の予定で外国のサマーキャンプに参加する予定があることと、帰国後に私立学校に入学することを聞かされたゲイブは、寂しい気持ちになります。

ある日、ゲイブはローズマリーから両親と一緒に、ジャズピアニストの演奏を聴きに行かないかと誘われます。一流のレストランにロマンティックなピアノ演奏ですっかり大人の気分になったゲイブは、テーブルの下でこっそりローズマリーの手を握ります。汗ばんだゲイブの手のために、ローズマリーは手を引っ込めますが、もう一度自分からゲイブの手を握り返します。サマーキャンプの予定が迫る中、焦っているゲイブは、ショーの後、別れ際に思い切ってローズマリーにキスをしますが、ローズマリーの反応はやや冷たい感じでした。

すべてが順調に進んでいるように見えましたが、ローズマリーが新しい組み手(金髪で背が高くハンサムな男の子)と組むようになってから事態は一変します。ゲイブはローズマリーの新しい組み手に嫉妬します。ローズマリーの心を自分に取り戻そうと必死のゲイブは、見栄を張って黄帯を取るために板を割ろうとしますが、手を骨折してしまいます。ゲイブは空手教室をしばらく休むことになります。心配して電話をかけてきたローズマリーに、時間切れが迫るゲイブは週末に会いたいと話しますが、忙しいことを理由に断れてしまいます。ローズマリーは週末に叔母の結婚式にフラワーガールとして参加することになっていました。カッとなったゲイブは思わず「君なんて嫌いだ」と心にもない言葉を投げかけてしまい、ローズマリーと喧嘩してしまいます。

ローズマリーに酷い言葉をかけてしまったことを、ゲイブはひどく後悔します。ゲイブは父親に「愛はどうして終わりがくるのか」と質問をします。父親は「長く一緒に過ごしていると、きちんと伝えなければならないことを伝える努力さえしなくなるからだ」と話します。居ても立っても居られなくなったゲイブは、ローズマリーのいる結婚式場まで走ります。式場の席で退屈げに座っている彼女を見つけると、勇気を振り絞って自分の思いのすべてを告白します。驚いたローズマリーは、まだ恋の準備ができていないと答えますが、ゲイブに会えたことは本当に嬉しく、ローズマリーはゲイブをダンスに誘います。二人がチークダンスを踊る中、ゲイブはローズマリーとは別々の道を歩んでいくことを悟ります。

ゲイブが家に帰ると、両親はハネムーンの思い出を語りながら笑っていました。父親が「古いものを片付けた」と言い、両親が和解したことに、ゲイブは喜びを隠せませんでした。三人は仲良く夕食に出かけ、映画は終わります。ゲイブはローズマリーが自分にとって「もう二度と初恋はない。あの初恋はいつまでも彼女だ」と回想(思い出)します。

物語は終始、ベイブの独白で進行します。初恋の気持ちの経過が、とても丁寧に描かれています。ベイブがローズマリーに夢中になる過程と、恋が終息(昇華)するラストは、ハッピーエンドではありませんが、余韻を残す上手い終わり方だと思います。そしてベイブもローズマリーも本当に可愛いらしかったです。1時間半と短く、軽快なテンポ(ベイブにとってはシリアスですが)で観終わって心が温かく甘酸っぱくなりました。
マンハッタンの様子と地理が良く分かります。この映画限定のサントラ(ビートルズやエルヴィス・プレスリーなど)は18曲も使用されていて、音楽も楽しめました☆
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