映画「愛と追憶の日々」を観て。30年にわたる母と娘の絆を、葛藤とユーモアを交えながら温かいトーンで描く


 1983年製作のアメリカ映画です(原題「Terms of Endearment」)。30年にわたる母と娘の絆を、葛藤とユーモアを交えながら、温かいトーンで描くヒューマンドラマです。特に娘の波乱の人生には胸を打たれます。この映画は批評家から高い評価を受けて、アカデミー賞では11部門でノミネートされ、作品賞・監督賞・主演女優賞・脚本賞・助演男優賞の、5部門を受賞しました。

画像

早くに夫を亡くしたオーロラ・グリーンウェイ(シャーリー・マクレーン)は、女手ひとつで娘のエマ(デブラ・ウィンガー)を育て上げます。美人のオーロラはモテて、しばしば男性からアプローチされますが、彼らとは距離を置きます。代わりにエマとの親密で支配的な関係に執着します。しかし、母親から早く逃れたいエマは、母親の反対を押し切って、若い大学講師のフラップ・ホートン(ジェフ・ダニエルズ)と結婚します。オーロラはチャレンジ精神の薄いフラップのことが気に入らずに、結婚式にも出席しませんでした。エマとオーロラは電話で頻繁に口論しますが、それでもエマはオーロラと電話で連絡を取ったり、実家に顔を出したりして、とても親密な関係を保っているのでした。結婚後まもなく、エマは初めての子どもを妊娠します。いっぽうオーロラの家の隣に、有名な元宇宙飛行士のギャレット・ブリードラヴ(ジャック・ニコルソン)が引っ越してきます。ギャレットは歳に似合わず奔放で粗野な性格で、女遊びも派手で、恩給で自堕落な生活を送っていましたが、オーロラはそんなギャレットに徐々に惹かれていきます。

画像

やがてエマが長男のトミーを出産します。エマが2人目を妊娠した頃に、フラップがアイオワ州デモインの大学の助教授に昇進します。一家はそれを機会に、デモインに引っ越していきます。デモインで次男のテディを出産したエマは、忙しい割には収入が上がらないフラップに不満を持つようになります。またフラップが帰ってこない日もあり、エマはフラップの浮気を疑います。エマは3人目を妊娠します。エマは経済的に困難に陥り、オーロラに金銭的な援助を求めます。しかしオーロラに断られてしまいます。オーロラはエマに、中絶のためにコロラドに行くことを勧めます。ある日、エマは食料品店で、支払いのお金が足りずに困ってしまいます。そこに偶然、むかし融資を断られたことがある銀行員のサム・バーンズ(ジョン・リスゴー)が居て、エマは彼に助けてもらいます。それを機会に、エマは妻子持ちのサムと浮気をするようになります。同じ頃、オーロラもギャレットと、親密な仲になっていました。

画像

その後、数年のうちに、結婚生活は徐々に悪化していきます。エマはキャンパスでフラップが、彼の学生の一人と親しくしているのを目撃してしまいます。エマは怒って、3人の子供たちを連れて、すぐにヒューストンの実家へ車で戻ります。オーロラは娘の里帰りを歓迎します。オーロラが娘や孫たちと一緒にいる様子を見たギャレットは、関係が冷えこんだと感じて、オーロラに別れを告げます。エマがいない間、フラップはネブラスカ州立大学の英文学部長に昇進します。エマは子供たちとアイオワに戻り、その後ネブラスカに移ります。エマとサムの関係も終わります。

画像

子供の予防接種に行ったときに、エマの脇の下にしこりが2つ見つかります。検査の結果は、悪性のガンでした。エマから連絡を受けてショックを受けたオーロラは、親友パッツィと一緒にエマを見舞い、エマをニューヨーク見物に招待します。エマはニューヨークに短期間滞在します。パッツィの友人たちは、エマが一度も働いたことがないことに驚きます。しかし、エマがガンであることを聞くと、場の雰囲気が悪くなります。居心地が悪くなったエマは楽しめず、早々に帰宅します。エマの容態は日に日に悪化していきます。オーロラはエマの看病に追われます。エマは末期ガンと診断されます。オーロラとフラップは、エマの入院中、ずっとそばにいました。ギャレットもオーロラの元に飛んできて、オーロラを支えます。オーロラはフラップに、エマの子供たちを、自分とパッツィが引き取ると提案しますが、フラップは拒否します。しかしフラップはオーロラの熱意と自分の過ちを悔やんで、最後は子供たちをオーロラに託すことにします。

画像

いよいよエマの最期が近づきます。反抗期になっていた長男のトミーは、エマに対して、変わらず反抗的な態度を取っていました。そんなトミーをオーロラが平手打ちします。オーロラは「エマの悪口は許さない」と言い、トミーを抱きしめます。その夜、エマはオーロラとフラップに看取られながら息を引き取ります。エマの葬儀の日、パッツィのほかギャレットも駆け付けます。悲しみの淵にあったオーロラは、孫に話しかけるギャレットの姿を見て、穏やかな気持ちになります。

画像

すれ違いや衝突を繰り返しながらも、母と娘、支え合うふたりの関係が心に残ります。シャーリー・マクレーンとデブラ・ウィンガーの演技と存在感も良くて、シャーリー・マクレーンの繊細な心理表現と華麗な存在感に圧倒されました。なにげない日常生活のリアルさが繊細に、淡々と描かれていて、それだけにエマの死という悲劇にも現実感があって、人間の命のはかなさが際立っていました。悲劇と喜劇の混じった素敵な作品でした。9.11テロ事件で崩落する前のワールドトレードセンタービル(ツインタワー)が映っていたり、前半でキャロル・キングの名曲『I Feel the Earth Move』がかかっていたりするところも見どころです。

ちなみに作家の綿矢りささんが、この映画を好きな作品に挙げています☆

コメント