映画「海街diary」を観て。鎌倉を舞台に、四姉妹の絆が紡ぎ出す物語

 

2015年製作のヒューマンドラマ映画です。吉田秋生の同名漫画を原作としています。監督と脚本は是枝裕和。物語の主人公の「四姉妹」を綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じています。第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞の受賞作品でもあります。海の見える街・鎌倉を舞台に、四姉妹の絆が紡ぎ出す、心温まるアットホームな作品です。それぞれ個性の違う四姉妹の絡み合いが、とても自然体で引き込まれます。

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ある夏の朝、3姉妹の元に15年前に女を作って家を出た父の訃報が届きます。父は闘病の末に亡くなったのでした。その後、母も再婚して家を去っていました。その父が再々婚していて、山形に暮らしていたことを香田家の3姉妹は初めて知ります。長女の幸(綾瀬はるか。29歳。黒髪のロングヘア。市民病院の看護師)は、自分らを捨てた父親との不和から、仕事が忙しいのを理由に、代わりに次女の佳乃(長澤まさみ。22歳。パーマをかけたセミロング。地元の信用金庫勤務)と三女の千佳(夏帆。19歳。お団子ヘア(シニヨン)。スポーツ用品店勤務)を告別式に送り出します。しかし佳乃は、15年以上も会っていない父の死を、特に何とも思えず、また千佳も、父との思い出がまったくないのでした。それでも幸の依頼で、面倒くさがりながらも、葬式に出席するために山形へ行った佳乃と千佳は、年齢の割にはしっかりしている異母妹・浅野すず(広瀬すず。13歳。黒髪のボブカット。中学1年生)に迎えれられます。

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葬儀の途中で大泣きする義母を支えていたすずは、葬儀の終わりに義母と叔父から、参列者へのあいさつを依頼されますが、本来は来ないはずだった幸が現れて、それは大人の仕事だと止めます。幸は、すずの肩身の狭い立場と、家族でただひとり、すずだけが熱心に父親の看病をしていたことに気づきます。幸はすずに、父親との思い出の場所に案内して欲しいと頼みます。すずは小高い山の上に3人を案内します。そこから見える下界の景色は、海は見えないものの、3人が住んでいる鎌倉の風景に似ていました。すずとの別れ際、幸はすずに、鎌倉で3人と一緒に暮らさないかと持ちかけます。すずは即答します。すずを迎えた香田家は、四姉妹になります。サッカーが好きで性格の明るいすずは、鎌倉での暮らしにもすぐに馴染みます。サッカーチーム・オクトパスでコンビを組む風太とも親しくなります。3姉妹を温かく見守ってきた「海猫食堂」の店主・二ノ宮さち子(風吹ジュン)や、食堂の常連の福田仙一(リリー・フランキー)にも気に入られます。

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葬儀への列席を頑固に拒否していた幸を言い聞かせたのは、交際中(不倫)の小児科医・椎名和也(堤真一)でした。椎名は精神の病を抱える妻との離婚に踏み切れないまま、幸との関係も続けていました。幸は大叔母の菊池史代(樹木希林)から、すずを引き取ったことに関して、すずは妹だけど、家庭を壊した女の「子供」だと諭されます。ある日、市民病院の内科で働く幸に、新設されるターミナル・ケア(終末期病棟)への転属の打診がありました。幸は「最期を看取る」ことの難しさを感じます。酒と男が生き甲斐の佳乃は、お金を貢いでいた若い恋人にフラれます。それをきっかけに、信用金庫の窓口係だった佳乃は、外回りの仕事(融資担当)への配置転換を受け入れます。佳乃は食堂を経営するさち子が、弟から財産分与を請求されていて、海猫食堂が存続の危機にあることを知ります。佳乃は上司の坂下美海(加瀬亮)と一緒に、店の存続のために奔走します。しかしさち子には、別に深刻な問題(健康問題)があるのでした。

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千佳は勤め先の店長であるアフロヘアの浜田三蔵と交際していました。浜田の趣味に合わせて、千佳はすずたちの所属するサッカーチームのサポーターとなって、渓流釣りにも興味を示します。しかし、元は山男だった浜田はエベレストで遭難したとき、凍傷で足の指を6本も失いながらも、登山への未練を捨てきれませんでした。すずのサッカーチームの勝利を祝って、千佳はすずに自家製の梅酒を飲ませますが、酔っぱらってしまったすずは、義母や父親に対して溜まっていた鬱憤をぶちまけます。千佳や佳乃たちは、優等生のすずにも、深い悩みがあることを知り、酒乱の癖が佳乃に似ていることを可笑しく思います。新学期になって、すずはクラス替えで風太と同じクラスになります。同級生たちは、2人が付き合っていると囃し立てますが、すずはすぐに否定します。ある日風太は、すずを自転車に乗せて、満開の桜並木のトンネルを走ります。

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やがて北海道に住んでいる幸たちの実母・佐々木都(大竹しのぶ)が法事にやってきます。幸は以前から、身勝手で子供っぽい母に反発していました。すずは都から何か言われるのでは、と心中穏やかではありません。都はすずには言及せずに、唐突にこの古い家を処分したらと言い出します。幸と都は大喧嘩になり、史代から叱られます。しかし佳乃はいずれはみんなこの家から出ていくと言い、クールな態度です。すずも、自分が不倫の子であることから、姉たちに対しては内心引け目を感じていました。幸の料理を手伝っていたすずは幸に、不倫は良くないと話しますが、幸は言葉に詰まってしまいます。幸が不倫をしていることは誰も知りませんでした。翌日、夜勤のためにたまたま家にいた幸を都が訪ねてきます。都は渡し忘れた子供たちへのお土産を置いていきます。雨の中、幸は都と祖母の墓参りに行きます。都は自分にとって家は、都を縛り付ける窮屈なものでしたが、幸たちにとっては、かけがえのない大切な場所だと思い知らされたと、幸に謝ります。幸は母親の本音を聞き、北海道に帰る都に、家族の思い出の品である梅酒を渡すのでした。

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季節が移り変わり、四姉妹は絆を深めていきます。最初は「さん」づけるなど他人行儀だったすずも、次第に幸たちを「お姉ちゃん」と呼ぶようになります。夏になり、鎌倉の花火大会が近付いていました。幸はすずのために、自分の浴衣をすずのために仕立て直します。幸の浴衣を着たすずは、風太らサッカーチームのメンバーと船上で花火を見物します。帰り道、すずは風太に、姉たちにも言えない悩みを打ち明けます。自宅に帰ったすずを、浴衣を着た姉たちが待ち受けていました。四姉妹は庭で花火を楽しみます。千佳はすずと一緒に作った、ちくわ入りのカレーを食べます。「ちくわカレー」は姉たちには不評でしたが、千佳にとっては、祖母との思い出の味でした。香田家のカレーは本来、都が幸に唯一教えた「シーフードカレー」でしたが、千佳はそれをあまり覚えていないのでした。父親のことをほとんど覚えていない千佳はすずに、お父さんのこと教えてねと言います。

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佳乃と坂下の奮闘によって、融資が受けられて店が続けられることを、佳乃はさち子に伝えます。しかしさち子は余命いくばくもなく、店を閉めてターミナル病棟に入ることを決めていました。子供の頃から面倒を見てくれたさち子を救うことが出来ないと落ち込む佳乃でしたが、坂下はさち子のために公正証書遺言書を作成することは出来ると話します。他人の人生と真剣に向き合って、頼りになる坂下に、佳乃は徐々に惹かれていきます。いっぽう幸と付き合っている椎名は、研究のためにアメリカに行くことを決めて、幸に一緒について来て欲しいと話します。人生の岐路に立たされた幸は悩みます。しかし、大人の勝手な都合で子供時代を奪われたすずに思いをはせ、幸は妹たちとの生活を選択して椎名に別れを告げます。椎名は幸も同様に、大人の都合で子供時代を奪われたのだから、ゆっくり取り戻せばいい、と言います。幸はターミナル病棟への転属を決めます。

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幸とすずは2人で小山に登ります。そこは昔、父親が幸を連れてきた場所で、父親が家を出てからは幸がひとりで来る場所でした。そこから見える海の景色は、すずが姉たちを案内した山形の風景にとても似ていました。幸は「おとうさんのバカ!」と叫び、すずは「おかあさんのバカ!」と叫びます。幸はすずに「ここに居ていいんだよ」と告げます。幸は看護師として、さち子の最期を看取ります。佳乃は葬儀で大泣きします。さち子の遺影は、仙一との最後のデートのときのものでした。さち子との思い出を話した仙一は、帰り際にすずを呼び止めて、お姉ちゃんたちに内緒でお父さんのことを聞きにおいで、と告げます。浜辺を散歩する四姉妹は、人生の最後について語り合います。幸は無邪気に水と戯れるすずを見ながら「お父さんは駄目な人だったけれど、いい人だったんだね。こんな妹を残してくれたんだから」と語ります。四姉妹は鎌倉の古い家を離れずに、新たな日々を重ねて行くのでした。

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とにかく物語のテンポが良くて(短いシーンが惜しげもなく出てくる)、四姉妹のキャラクターが全然違うのに、深い絆(結束)を感じる演出は素晴らしかったです。四姉妹のやりとりが自然で、全然演技に見えませんでした。しっかり者だけど、交際相手と上手くいかないと果物を大量に買ってくる癖のある長女の幸、酒癖が悪い上に男運も極めて悪い次女の佳乃、破天荒でいちばん掴み所のない性格だが、ケンカの多い幸と佳乃の関係をよく理解していて、すずと一番仲の良い三女の千佳、そして明るくて良い子でたくましいすず。4人の関係は見ていて羨ましかったです。いずれは4人とも「古い家」を出ていく日があるのでしょうが、いつまでもこのままでいて欲しいと、思ってしまいました。

鎌倉の四季(秋・冬・春・夏)の風景も美しく、いままで観た映画で、3本の指に入る映画でした。菅野よう子の音楽も良かったです☆



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